昨日、急に思い立って糸魚川の谷村美術館へ。何年ぶりだろうか・・・十年ぶりぐらいでしょうか。
一つの空間に一つの仏像、その空間に立つ一人の来館者のために設えされた濃密な空間です。歴史や伝統に根ざしながらもそれを超えた凄まじい造形を目にして久しぶりに鳥肌が立ちました。
普段「空間」、「スケール」と言いますが、これほどの空間とスケール感はここ以外でまず体験することはできないでしょう。アプローチの見事さ、村野藤吾ならではの展示棟の造形、言葉にできません。
2013年09月09日
2011年04月15日
南部ビル
麹町近辺には村野藤吾の作品が点在しています。和風建築の傑作、なだ万山茶花荘、洋式建築の改修では赤坂プリンスホテルの貴賓館、そして赤坂迎賓館、オフィスビルではダイビルと南部ビルがあります。堀の深いスタイリッシュな雰囲気のあるダイビルと対比するように堀をぎりぎりまで浅くした南部ビルがあります。村野先生はこの二つのビル意図的に対比させ、それぞれの個性が鮮やかに引き立つよう考えたのだと思います。
この建築は世界で初めてアルミダイキャストをカーテンウォールとして採用した作品です。目黒区総合庁舎(旧千代田生命)が初となっていますが、格子での採用ということもあり、南部ビルが“初”ということになると思います。その後は宇部の全日空ホテルや大阪都ホテルと展開してゆきます。
南部ビルは村野藤吾の処女作として名高い近三ビルの路線、窓のチリを浅くすることで、丹精で優しく、永遠に変わることのない絶対的なファサードの美を自身の処女作のオマージュとして最晩年に取り組んだ貴重な作品だと思います。私の最も好きなビルでもあります。
しかし、残念なことに近年はテナントに恵まれていないそうで、厳しい状況とのことです。何かよい知恵はないものでしょうか皆さん。
2010年10月04日
2010年02月07日
2009年10月14日
村野藤吾自論 − 登り窯と村野作品
菅原の登り窯の写真を見て谷村美術館や小山敬三美術館と共通するものを感じました。ありとあらゆるものから発想する先生のことですから登り窯からインスピレーションを受けた可能性もあると考えます。村野先生は陶芸の町唐津の出身ですから身近に御覧になっていたはずです。仕上げのタイルも茶器と同じ釉薬を使ったりもしていますので陶芸の世界から村野先生の作品を考えることは大変面白いことだと思います。