2011年04月15日

南部ビル

麹町近辺には村野藤吾の作品が点在しています。和風建築の傑作、なだ万山茶花荘、洋式建築の改修では赤坂プリンスホテルの貴賓館、そして赤坂迎賓館、オフィスビルではダイビルと南部ビルがあります。堀の深いスタイリッシュな雰囲気のあるダイビルと対比するように堀をぎりぎりまで浅くした南部ビルがあります。村野先生はこの二つのビル意図的に対比させ、それぞれの個性が鮮やかに引き立つよう考えたのだと思います。

この建築は世界で初めてアルミダイキャストをカーテンウォールとして採用した作品です。目黒区総合庁舎(旧千代田生命)が初となっていますが、格子での採用ということもあり、南部ビルが“初”ということになると思います。その後は宇部の全日空ホテルや大阪都ホテルと展開してゆきます。

南部ビルは村野藤吾の処女作として名高い近三ビルの路線、窓のチリを浅くすることで、丹精で優しく、永遠に変わることのない絶対的なファサードの美を自身の処女作のオマージュとして最晩年に取り組んだ貴重な作品だと思います。私の最も好きなビルでもあります。

しかし、残念なことに近年はテナントに恵まれていないそうで、厳しい状況とのことです。何かよい知恵はないものでしょうか皆さん。

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posted by 佐藤健治 at 18:10| 村野藤吾自論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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