以前、長谷川先生から頂いた最も大切な教え「よく生きる」について書きましたが、折をみて何時か説明させて頂きたいと思っていました。
最近、先生の代表的な著書「神殿か獄舎か」を読み直していますが、その中に「自己性の拡充」という言葉が書かれています。「よく生きる」とはその言葉と同意です。
※鹿島出版会SD選書「神殿か獄舎か」の102ページ。
建築家の仕事を例にとると“自己性”とは自分の内にやるべきことを見出すことです。モダニズムであるとか、古典主義であるとか外から与えられた法則に従うのではなく、自己の内なるものを頼りとししなければ、よい設計はできないということです。
また、大切なのは「個性」ではなく「自己性」であり、その“自己”を充実させることがもの造りの本質であると語られています。
“個性”が前面に出て“自己性”が欠如している建築家がいかに多いことか、その視点でみると村野藤吾が如何に凄い建築家であったかが分かります。
この言葉を胸に製図台に向う毎日です。